不動産の共有状態ってどう解消すればいいの?

 大阪府池田市にあります、ささのは司法書士事務所です。

 複数人で所有している不動産のことを「共有名義不動産」といいます。この共有名義不動産は相続で発生することが多いですが、放置しているとトラブルの種になりかねません。早急に共有状態を解消する必要があります。

「でも具体的にどうすれば解消できるのかがわからない……」、私の元にも実際にこのような相談がきたことがあります。色々な方法はありますが、現実的には下記の4つがあると思います。

(1)不動産全体を売却して、金銭を分割する方法

(2)持分を他の共有者に移転する方法

(3)土地を文筆する方法

(4)共有者分割請求訴訟を提起する方法

そもそも「共有状態」ってなに?

 「そもそも共有状態って何……?」という方も多いと思います。まず最初に共有状態について簡単に説明します。

 共有状態とよく比較されるのが単独所有の状態です。単独所有とは、一人が一つのものを持っているということですね。例えば私が自分のお金を出してスニーカーを買ったとします。この場合、スニーカーは全て私のものなので、私が自由に利用できますし、必要なくなったらいつでも処分することができます。このように単独所有者はそのものについて、利用・処分する権限があると言えます。

 対して、共有は複数人で一つのものを持っている状態になります。例えば、私が友達二人とお金を出し合って車を買ったとします。この時、車は私たち「3人のもの」になりますよね。みんな同じだけお金を出し合っているのに、私が勝手に「これは全部私のものだ!」と主張すれば、他二人からの非難は免れないでしょう。この「みんなのもの」というニュアンスが共有状態のことを指します。

 車はみんなでシェアしている訳なので、私たち3人はそれぞれ車を利用する権限があります。しかし、単独所有と違うのは処分する権限は持っていないということです。ある日、車を利用しようとしたら見当たりません。友達に車の所在を聞くと「ああ、あれもう売っちゃったよ」なんて言われた日には今後の交友関係を見直さなければいけなくなるでしょう。共有状態において、各共有者は利用権限はあるけれども、処分権限は持ち合わせていないということですね。

 さてこの共有状態ですが、不動産においてもよく発生します。例えば夫婦のペアローンでマイホームを購入したときや兄弟で一つの不動産を相続した時ですね。

 登記簿を見たときに、権利部(甲区)というところに下記のような記載がされていればその不動産は共有状態にあると言えます。この場合、AさんとBさんがこの不動産を共有していることになります。

3所有権移転平成4年8月10日 第15470号原因 平成4年6月9日相続
共有者 持分2分の1 A
持分2分の1 B

 ただ、先ほども言った通り共有状態において、各共有者はそのものを処分することができません。「相続でひとまず不動産を共有状態にしたけど、固定資産税が馬鹿にならないしそろそろ処分したい……」と思っても、兄弟全員が処分することに同意しなければ売却することはできないのです。兄弟仲が良好であればいいですが、上手く話し合いがまとまらないとただただ管理が大変な「負」動産が残ることになります。

そのまま放置しているうちに、また相続が発生すると共有者はネズミ算的に増えていきます。人数が多くなればなるほど合意を形成するのが難しいことは言うまでもないでしょう。 不動産の共有状態は早急に解消するべきです。

共有名義不動産の解消方法

 では具体的にどのように解消すればよいのでしょうか。私は下記の4つの方法をお勧めしています。

(1)不動産全体を売却して、金銭を分割する方法

(2)持分を他の共有者に移転する方法

(3)土地を文筆する方法

(4)共有者分割請求訴訟を提起する方法

 それぞれの方法について、解説していきます。

(1)不動産全体を売却して、金銭を分割する方法

 不動産全体を売却する方法です。共有者に今後その不動産を利用する意思がない場合はこの方法を取ることが多いです。売却してできた金銭を持分比率に応じて分配することになります。金銭で分けることができるので、明確で公平な分配方法と言えます。

 ただ、共有者に音信不通者がいればこの方法は取れなくなってしまいます。また、不動産自体が第三者の手に渡ることになるので、一族代々の土地など思い入れの強い不動産については合意を得られないこともあります。

(2)持分を他の共有者に移転する方法

 共有者間で持分の売買を行い、単独所有にすることで共有状態を解消する方法です。これは、既に共有者の誰かが不動産を利用しているときに採用することが多いです。例えば、実家に両親と住んでいたお子さんが、両親が亡くなった後も住み続けているようなパターンですね。この時不動産を売却してしまうと住処をなくしてしまうため、その住んでいる方が他の共有者から持分を買い取ることで単独所有の状態にします。

 この方法だと(1)で記載したデメリットである「先祖代々の土地が他人に渡ってしまう」ことを防ぐことができます。ただ持分を他の共有者から買い取るため、そもそも買い取る側に一定の資金がないと取ることができません。

(3)土地を文筆する方法

 これは主に土地限定の方法ですが、物理的に土地を分割します。一つの土地を共有者の数で分割することで、無理やり共有状態を解消することができます。  ただ、この方法は「どう分割するか」が非常に難しいです。同じ土地であっても、道路に面しているか・日当たりはいいか、など場所によって価値は異なります。同じ価値になるように分割するには、不動産鑑定士などの専門家の力が必要になるでしょう。

(4)共有者分割請求訴訟を提起する方法

 上記3つの方法で合意が取れない場合は、裁判所に訴訟を提起することになります。裁判所は諸般の事情を鑑みた上で、上記3つのいずれかの方法で強制的に共有状態を解消します。

 メリットは必ず共有状態が解消されることです。協議に応じない共有者がいたり、音信不通者がいてもこの方法であれば解決に向かいます。

 ただ、共有者が望む分割方法を裁判所が取らなかったり、訴訟費用がかかるなどデメリットもあります。この方法は最終手段として考えるべきでしょう。

まとめ

  • 共有状態は早急に解消すべき。
  • 共有状態の解消方法は主に4つある。
  • 共有者分割請求訴訟は最終手段として考える。